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 『こどものじかん』原作者&シリーズ構成対談

――まずは『こどものじかん』のストーリーを思いついたきっかけを教えて下さい。
私屋カヲル(以下、私屋): 結構前になるんですけれども、悪魔みたいな女の子を描きたいな、
と思ったんですよ。大人を振り回すような。

連載する雑誌は『コミックハイ!』と決まっていて、『COMIC HIGH』の“HIGH”は何かって言うと、“HIGH SCHOOL(高校)”の“HIGH”なんですよね。だから、「一応、掲載するマンガの主人公は女子高生で」という約束がなんとなくあって、女の子が主人公のお話で統一しよう、という話がありました。そうすると、雑誌の連載全部が、似たようなカラーになっちゃうんじゃないかなぁと思いまして、それで私は違う道を行こう、主人公を小学生にしよう、と(笑)。

そうしたら2回描いた段階で、『COMIC HIGH』が一度休刊してしまいまして……(笑)。それで復刊するまで半年ぐらい空きましたよね?普通、雑誌が休刊すると復刊しないことが多いんですよ。
ですから、「絶対に復刊しますから!」と言われてはいたのですが、「ホントかよ!?」と思っていました。「ウソ? そんな話、聞いた事ないよ」と。

『こどものじかん』はどうしても描きたかったから、このネタを持って知り合いのほかの雑誌編集部に行こうかなぁ、みたいなことも聞いてみたりもしました。「絶対、再刊するから待っていて下さい」「待っていて下さい」と言われていました。実際、待っていて良かったな、と。

岡田麿里(以下、岡田): 波乱万丈ですねぇ……。

私屋:昔に比べるとタブーという物はなくなってきているように思うんですよ。先生と生徒の恋愛ネタでも、女の子が女子高生だと、割とまぁ、アリ、ですよね、最近は。卒業したらいいんじゃない、みたいな勢いで。残るのは、年齢を下げるしかない。「年齢下げるか、○○○○しかない!」とか言って(笑)、で、○○○○は私、駄目で、想像出来ない。これならはもう、主人公の年齢を下げる方向で、障害があった方が、面白いかな、と。


――アニメ化を受けて岡田さんがシリーズ構成として入った訳ですが
岡田: すみません、このお仕事をやらせていただく前に原作のコミックスを読んだことはありませんでした。「こういうコミックスがあってアニメ化したい」という相談を受けまして、それからコミックスを読ませていただいたら、もう「これはやらせてくれ!」と(笑)。読んだ人をひきつける魅力がすごくある作品なんですよ。
題材のもつインパクトに目が奪われがちですが、なによりも、ストーリーがすごくしっかりしていているんです。先程、先生が「悪魔のような女の子を描きたい」と、おっしゃっていましたけれど、主人公のりんのキャラクターが本当に魅力的で。1つの台詞から、ガッ!とこちらのイメージを広げてくれるんです。私も、このお仕事のお話をいただいたときに、「少女を描きたいな」という気分だったんです。少女がもつ純粋さと残酷さのあやういバランスとか、本人も含めそれに翻弄される人たちの感情の振り幅みたいなものに魅かれる部分があるんですね。
そういう傾向の作品を書いてみたいけれど、真っ向から書かせてもらえる題材というのはあまりないですし、アニメでも、どうしても小学生ぐらいの女の子というのは脇役に回されることが多い。それがこの作品ではがっつり主人公なんですよね。そして、小学生という強力な武器を持ちつつ、りんはそれに振り回されない自分自身をもっている。そこにすごく魅かれたんです。とにかく「この原作は大好物だ!」と感じて、「是非やらせて下さい!」と言ったんです。

――アニメのストーリーの内容をつめていく上で、お2人では、どんなことを話し合われたのですか?
岡田:先生とは、最初にデニーズでお会いしたんですよね。
私屋:ああ、○○○のデニーズ!
岡田:はい、○○○のデニーズで。そのときに、ラフのストーリー構成をお持ちしたんです。先生に観ていただく前に1回こちらで組もう、と。一回軽く組んで、それを先生に確認していただこうと思ったのですが、その構成が、「ちょっと過激過ぎるんじゃないか? 先生に受け入れられてもらえないぞ?」という話があったんですよ。
私屋:え? それ私、知らないですよ?
岡田:(笑)先生に見せる前に内輪でそういう事があったんです。でも、「それでも自分としてはこれをやりたいんですよ!」みたいな内容も入れ込みつつ、とはいえ少しオブラートに包んだような内容の構成を、デニーズに持っていったんです。そうしたら先生が、「ここのところは、もっと内容的に切り込んで欲しい!」と(笑)。それを聞いて、「先生……イカス……!」って思いました。

――先生が、オブラートを剥がして下さった?
岡田:「突き抜けちゃってください、もっとやってもらってイイですよ!」という発言が、本当にありがたくって、心強かったですね(笑)。
私屋:(笑)私、普通じゃないんですよ(笑)。
岡田:原作で最終回がきていない作品の場合、アニメ版の最終回はおとなしく……というか、無難にまとめていきましょうとなることが多いのですが、先生は「ガーッ!と行っちゃって下さい」と言ってくださって。そのうえで、「アニメはもう好きにしていいですよ」と放任するわけではなく、アニメの物語構成もちゃんと見て下さり、シナリオ打合せも毎週参加していただきました。ホントに……感動しました。お忙しいのに……!
私屋:原作は、まだお話が途中で続いている物ですから、TVシリーズの結末をどう、持っていくんだろう? 途中までは原作にあった要素を繋いだり伸ばしたりして作っていくので、「あ、なるほど!」と思ったんですけれど、当然、最後の方はオリジナルの要素が入ってくるので、どうするんだろう? と。最後の方にすごく興味があったんです。岡田さんは何を書いてくるんだろう? と。それで岡田さんが出してきたアイデアが、自分が考えている今後の展開の方向と近い内容だったので、「ああ、ちゃんと岡田さんは原作を、理解してくれている〜!」と、感動しました(笑)。
岡田:感動がえし!(笑)
私屋:良かった!良かった! ちゃんと伝わっている、って。


――岡田さんは原作のこれからの展開というのは事前に聞かされていなかったのですか?
岡田: そうですね。でも、先生のマンガが大好物だったので……。
何か、先生の目線の先にあるかもしれないみたいな物は、うっすら、ヒントとして雰囲気が掴めそうな感じはありましたね。今回は、最初の頃からプロデューサーに「原作から、何も引く必要はないと思うし、足す必要があればそれは足していこう!」みたいな。後ろ向きには作らないという話があったので、オリジナルの部分で何か足すにしても、原作の要素の何かを引いて足す、みたいな、そういうことはしたくないという思いはありました。

――岡田さんが足された物に関して、先生はどう感じられましたか?
私屋: 原作にフィードバックしている位です(笑)。「いいアイデア、貰っちゃった〜♪」みたいな感じでしょうか。
岡田:(笑)

――スタッフに当然男性はいる訳ですけれども、キャラの掴み方で男女差を感じられた事はありましたか?
岡田:う〜ん……。
私屋:う〜〜ん……どうでしたか?
岡田:そうですね……。やっぱり、男性の方がロマンチストだったりとか。割と、女性観が真面目だったりとかする傾向はあるかも知れませんね。でも、先生の凄い所というのは、女の子のキャラを、「そういうロマンチックな夢とかは無くてリアルなんだよ」と描くんじゃないんですよ。リアルな部分もあるんだけれど、ちゃんと、男性がグッとくるポイントを押さえてあるんです。
何ていうのかな……打ち合わせの時にも、男性に受け入れてもらえる部分と、女性ならではのリアルな視線の両方を出してくるんですよね。男性の幻想をただ打ち砕く、という感じではないんです。男性が女の子に萌える部分というのは、やっぱり、女性も同様に萌えたりするんですよ(笑)。
打ち合わせとかで「普通、小学生の女の子ってこうだよね?」みたいな話になった時に、いきなり、「でも、こうした方が萌えませんか!?」と、先生からアイデアをいただいたり。
逆に、「こうした方が萌えるよね」という時に、「でも小学生の女の子ってこうですよね」という意見が出たりとか。そういう、ここはこうしたいっていう線引きでも男女差はあるなぁ、というのは凄く感じました。OKラインとNGラインが微妙に違うんだけれど、みんなで作っている物なので、その辺の決着点を見ていただきたいですね(笑)。


――シナリオ打ち合わせで、ほかに印象的だった部分はありますか?
私屋:んー……なんでしょうね……。
岡田:……理想的だったんですけど(笑)。
私屋:(笑) 一番最初に会った時に、監督さんに小学1年生の娘さんがいらっしゃると聞いて、「大丈夫ですか!?」と(笑)。すごく監督は子煩悩な方で、打ち合わせの時にも娘さんから電話がかかってきて「もしもし〜、おとったんね〜、今、仕事なの〜」って(笑)。
岡田:監督としては、家庭人としての自分を、如何に忘れていくのかっていう葛藤が、打ち合わせの中にあったのかも知れません。で、監督が「これは描けない!」とか言うのを、「行きましょうよ!」と、みんなで説得したりして(笑)。
私屋:監督としての職業と小学生の親という立場のせめぎ合いが……
岡田:そう!そのせめぎ合いがドラマチックだったかも。
私屋:ホントに……。
岡田:途中でなんか、監督も弾けたと言うか――
私屋:弾けましたね!
岡田:段々段々、どんどん過激になっていった感じがします。
私屋:多分、麻痺して行ったんだと思うんですよ。監督は、自宅のリビングで絵コンテとか描いてらっしゃるらしいんですよ。そうするとやっぱり、帰ってきた子供が「お父さん何してるのー!」って見に来るじゃないですか。「あー! もう、ちょっと、あっちいってろー!」って、最初は見せないように見せないようにしていたんと思うんですけど。仕事に入り込んできたら、娘さんが近寄ってきても気づかなかったりして(笑)。
岡田:(笑)
私屋:段々こう、私たちに毒されて――
岡田:毒されて!
私屋:――行ったんじゃないかな、と。その辺は、有難いやら、申し訳ないやら。

――アフレコで声を聴いた感想をお願いします。
私屋:やっぱり、アニメとして動いてるのを観て、それに声があてられるのを聴くと、あらためて、やっぱり、ウチの子、可愛いな!(笑)。「ウチの娘、可愛い!」という親馬鹿な感想です。
岡田:もう、「やっぱり、いいですね!」。動くとひとしおと言うか……うん。で、女の子達のキャラクターには、自分の脳内ですでに声が付いていたりしたんですけど、キャストの皆さんはとってもハマってらっしゃるというか。なにしろ可愛いです。口に出して言ってもらうのが“あ〜、これは恥ずかしいかな?”という台詞も、いきいきと演じてくださってありがたいです。

――それでは最後に、ファンの皆さんにメッセージを。
岡田:とても愛されている『こどものじかん』という原作があり、アニメも同じように愛される作品になっていくといいな、と思っております。退きません!攻めの姿勢で行きますので、皆さん、「あ、ここまでやっているな!」とニヤニヤ見守っていただければと思います。よろしくお願いします。
私屋:シナリオの打ち合わせで良く言われていた、「放送出来る事が奇跡だ!」っていう台詞がとても印象的なので、私も全力で観ていきます!

――ありがとうございました。
© 私屋カヲル/こじか製作委員会